ヨハネス・フェルメールが生涯に描いた絵は、おそらく34点ほどです。1665年ごろに描かれた「真珠の耳飾りの少女」は誰もが知る一枚ですが、何世紀ものあいだ、ほとんど誰にも知られていませんでした。忘れ去られ、1881年のオークションでおよそ2ギルダー(まともな夕食1回分ほど)で売られ、有名になったのは20世紀に入ってからです。現在はハーグのマウリッツハイス美術館に飾られていますが、モナ・リザと違って、特定の誰かの肖像画ではありません。オランダではこの種の絵を「トローニー」と呼び、顔と表情、衣装、雰囲気を描いた習作であって、実在の人物を描くものではありませんでした。
記憶に残るのは、振り向いた頭の角度、少し開いた唇、大きくやわらかな真珠、そして真っ黒な闇から浮かび上がる姿でしょう。フェルメールは青いターバンに、ラピスラズリを砕いた高価なウルトラマリンを使いました。当時としては途方もない贅沢です。その後ろの布には温かみのある黄色を使っています。青と黄色、光と影、ほとんどそれだけです。
自分で描いてみませんか?
お手持ちの写真を番号つきのキャンバスにします ($19.95から)。写真をなぞって下絵にし、色に合わせて絵の具を調合し、筆とあわせてキットをお届けします。
できあがったデザインから選ぶこともできます。
- クジラと少女 数字油絵プレミアムキット ($19.95から $19.95)
- リップ・エクスプレッション 数字油絵プレミアムキット ($19.95から $19.95)
- 少女とウサギ プレミアムアートキット ($19.95から $19.95)
キットにほぼ理想的な理由
名画を初めて再現する人に、私が実際におすすめしたいのがこの肖像です。構図はシンプルで、顔がひとつ、ターバンがひとつ、そして黒い余白。ごちゃごちゃした背景も、注意を奪い合う細かい要素もありません。暗い背景は小さなムラを目立たせず、隠してくれます。しかも色の流れがとてもわかりやすいので、描きながら光の仕組みまで学べます。
キットの色数は24〜32色ほどで、温かい肌色、ターバンのウルトラマリンとグレーがかった青、背景用のほぼ黒に近い色の仲間が中心です。キャンバスは40x50cmで十分です。多くの方が12〜18時間で仕上げます。キャンバスの多くが静かな暗い面なので、モネやモナ・リザより早く終わります。
顔、ターバン、そして真珠
まず黒い背景から塗りましょう。面積が大きく、多少の失敗も許してくれて、あとの作業すべてを引き立てる額縁のような役目をします。闇を平らではなく深く見せたいなら、しっかり発色させるための重ね塗りガイドの塗り重ね方を使うと、斜めから光が当たってもムラになりません。
顔は、光の当たる頬と影の側に沿って、やわらかくぼかす必要があります。どんな肖像画にも欠かせない、ほとんど乾いた筆を使うあの技法です。具体的な筆の動かし方は顔と肖像画の塗り方ガイドで解説しています。唇はやさしく仕上げてください。下唇のハイライトが、今にも話し出しそうな表情を生みます。
次は真珠です。実は細かく描き込む対象ではなく、絵の具の2つの点です。上にやわらかな灰白色の輝き、下にそれより小さな反射光。描き込みすぎないでください。下地の色を置き、乾かし、明るいハイライトをひとつだけ加えて、そこでやめます。初心者はいつも真珠をいじり続けたくなりますが、必ず悪くなります。この2つの点がなぜ輝く球に見えるのかを知ることは、それ自体がいい勉強になります。光と影の考え方が初めてなら、色彩理論の基本を読むとすっと腑に落ちます。
壁に飾る
背景が黒なので、このキャンバスは額装すると見事に映えます。シンプルな暗い色か細い金色の額に入れれば、ギャラリーから抜け出してきたような仕上がりです。玄関や、薄暗くて雰囲気のある一角が似合い、顔にあたる光が主役になります。日差しが強く当たる場所には飾らないでください。影の中の輝きこそが魅力だからです。
描くときの光についても一言。フェルメールの手法は、左から差すやわらかな光ひとつに尽きます。暖色の照明のそばや、黄色っぽい夕方の光の下で作業すると、肌の色を見誤ります。昼の光か、ニュートラルな白色の電球なら、色の判断が狂いません。肩の後ろのサフラン色の布は、冷たい青をすべて引き締める唯一の暖色なので、くすませないでください。目の中の小さな光の点と、下唇の光のひと筆は、最後まで取っておきましょう。この2つの小さな点が、描かれた顔を、今にも話し出す人に変えます。
この少女のキットはポートレート・人物コレクションにあります。ほかにも美術館の名画で家で描けるものを見たいなら、ベストセラー一覧をご覧ください。まずはこの少女から始めましょう。見た目よりずっと描きやすく、仕上げたときには、ちょっとうまくやってのけた気分になります。
























